今年は2月2日が旧暦の大晦日にあたる。
北京語で大晦日は『除夕』(ちゅーしー;Chu2-xi1)と呼ぶのは知っている方も多いと思う。
台湾語ではどうだろうか。一つ目の言い方は、『過年暗』(ごえにーあむ;Koe3-ni5-am3)である。
もう1つの言い方は、『二九暝』(りーがうみー;li7-kau2-mi5)或いは『三十暝』(さーづぁっみー;SaN1-chap4-mi5)という。
何故ここで二九になったり三十になったりするかと云えば、年によって旧暦十二月は29日で終わったり、30日で終わったりするからである。
ちなみに今年の陽暦2月2日は陰暦12月30日なので、『三十暝』と呼ぶべきである。
台湾では元日ではなく、大晦日に一番のご馳走を食べる習慣があるのだが、今年も知り合いに呼ばれて重いお腹で帰宅すると、携帯電話のショートメッセージが届きだし、爆竹の音が響き始めてきた。
一般の人はどうかは分からないが、僕の周りの人たちは日本のように年賀状みたいなものは出さずに、携帯のショートメッセージで新年の挨拶をする。
ところで、この台湾の旧正月名物爆竹には頭が痛いところである。これのせいで大晦日は大抵は寝付けないものである。
この爆竹の由来は何かということを最近知った。
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昔々、「年」という怪獣がいた。
普段は海底の奥深くに住んでいるのだが、毎年大晦日になると海底から人の住むところにはいあがってきては、人を襲うのである。
ある乞食の老人が大晦日にとある老婆に言った。
「もし私を今晩うちに泊めてくれるならば、『年』怪獣から守ってあげよう。」
この老婆は半信半疑ではあるが、この乞食を家に泊めることにした。
乞食はまず門の側に赤い紙を貼った。
そして、家の中を夜通し明々とロウソクを灯した。
夜中になると、ソロリソロリと「年」が老婆の家を襲おうと門を越えて入ってこようとした。
すると、バチバチっと激しい音がなり、「年」は慌てて逃げ出した。
翌日の元日に、乞食は老婆に「年」は赤色のもの、激しい音と明かりを恐れるのだと話した。
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こんな話があるのだと感心しながら、プロジェクトにいる若者に話したところ、「知らない」との素っ気ない返事だった。
民間伝承の物語が廃れつつあるのは、日本でも台湾でも同じようだ。
突然だが、話を「年賀ショートメッセージ」に戻す。
幾人かのオテンバ台湾女性の同級生やその他知り合い達には「新年快楽!うさぎ年の今年は、あなたも兎のように大人しくしましょうね。」との文面で送ったところ、「私は元々兎よりも可愛らしく、羊よりも大人しいわ。今年は更に優しくなるから、どうぞお楽しみに。」との返信があった。
新年早々頭が痛いところである。
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