2020年2月24日月曜日

九份付近でプチ登山 ②茶壺山と半屏山登山



(「九份付近でプチ登山まずは台北から金瓜石まで」 https://kabu-taiwan-kikou.blogspot.com/2020/02/blog-post_16.html から続く)

「金瓜石(黄金博物館前)」のバス停では珈琲屋のお姉さん、娘さんと姪御さんの三人が待っていてくれました。

トイレをすませて出発!(注意:登山道に入るとトイレは一切ありません。)

他の多くの日本人の方々と同様、私も「千と千尋の神隠し」のモデルとなったという九份には何度か来たことがあり、黄金博物館にも来たことがありますが、茶壺山はそれまで聞いたことがありませんでした。黄金博物館の前をそのまま直進すると確かに階段があり、これが「茶壺山歩道」の入り口とあります。そしてその歩道の先には小さいティーポットのようなものが見えます。

少々急な階段道ですが、これを登る切るとアスファルトの道路に出て、そこにはあずまや(中国語でいう涼亭のこと)があります。そして持ち手のないティーポットみたいなものがハッキリと見えます。言い遅れましたが、中国語で「茶壺」は「茶つぼ」ではなく急須やティーポットの意味です。そして持ち手がないので、この山は正式には「無耳茶壺山」と呼ばれています。


アスファルトの道を登ると更に「茶壺山歩道」の続きがあるので、これを登り続けるとまた別のあずまやがあり、そこからは素晴らしい景色が見えます。(この日は曇り空で残念。)この海は海岸べりと海岸から離れたところで色が異なることから「陰陽海」と呼ばれているとのことです。


ここからもう少し頑張れば頂上です。ティーポットの周りに人が集まっているのが見えます。


この写真では少し分かりにくいかもしれませんが、人々が次々とティーポットの中に入って行きます。このティーポットの中に潜って、それからティーポットの周りを半周すると半屏山に行く道があります。

ティーポットでの移動はロッククライミングと言えば大袈裟ですが、岩をくぐったり、跨いだり、這ったりと正直少々怖くて足がすくみました。ただし危険なところにはロープがきちんと張ってあり、かつ足場も作られていますので安心感があります。

しかも登り慣れた人がいらして、色々とアドバイスしてくれるのも嬉しい。見ず知らずの人間に「あ~、右足はもう少し下の方に!」などと親切に声をかけてくれます。山の中でも台湾の人々の人情が暖かいです。

半屏山へ行く道は両側をススキが生い茂る美しい道で台湾のインスタスポットのようですが、僕たちがこの道に出た時は濃霧でこの風景を楽しめず残念でした。

このススキ道を進んでいくとまたも岩、岩、岩になってきます。ちょっとした岩山の崖のような感じです。インターネットで半屏山のことを調べると、元々は台湾語で「半爿」山(pòaⁿ-pêng、ぼあぴん)と呼ばれていたのが、後に北京語で半屏山となったとのことです。「爿」は木を二つに切った片側の意味で、台湾語で「半爿」とは片側半分のような意味です。ですので、半爿山は片側半分しかない山という意味で、片側は垂直に近い崖ということなのでしょうね……。

呼び名は大袈裟な気もしますが、崖のような岩場の道が少々続くのは事実です。しかしながらこちらもティーポットと同様、ロープがきちんと張ってあり、岩を削った足場もしっかりと作られていますので、ロープと足場を手がかりに一歩一歩進んでいけばきちんと頂上に辿り着きます!


頂上で女性軍を待っていると、彼女たちより先に登山慣れした感じの男性が一人でいらっしゃいました。

「ここが半屏山の頂上で間違いは無いですか?」と尋ねるとこっくりと頷かれ、更に「この石はなんですか」(写真の中央付近に写っている四角錐台のもの)と聞くと「100年以上前に日本人が測量した時につくった三角点だ。」とおっしゃります。

司馬遼太郎は「実際の台湾統治は、乃木のあとにきた第四代総督の児玉源太郎からはじまるのである。」と言っています。ただ児玉は陸軍大臣、内務大臣や陸軍参謀総長次長等を兼任したため、実務は民生長官の後藤新平によって行われました。児玉が1898年(明治31年)2月に総督に就任し、後藤が同年3月に民政長官に就任します。

児玉、後藤が台湾にて真っ先に着手したのが土地調査事業でした。1898年(明治31年)717日に公布された「台湾地籍規則及び土地調査規則」に基づき、台湾総督府臨時土地調査会は、地籍調査、三角測量、地形測量を実施しました。

このような歴史的事実に鑑みると、この男性が言っていることも恐らく間違いないと思われます。

今まで自分が通って来た険しい道のりを考えると、統治を初めて間もない台湾で、こんなところに一体どのように来て、どのように測量したのか……。先人の努力を少し想像しただけで、大変な苦労だったに違いないことを改めて思い知らされるのでした。

そんな思いに耽っていると、ようやく賑やかな女性軍も頂上にやってきましたので、少し休んでから、また足を進めます。

少し霧が薄くなり、ススキの道も風景が見えるようになってきました。


(③へ続く)

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起業、大学院での活動、在台日本人の生活等を通して色々な角度から見た台湾について、そして台湾から見た日本について、皆さんとお話していきたいと思っています。