2020年1月15日水曜日

陽明山ウルトラマラソン


111日(土)、無事台湾の総統選が終わったので、翌12日(日)には陽明山ウルトラマラソンという大会に参加した。ウルトラマラソンの大会だが、僕が参加したのはフルマラソンの部42.195キロ。



陽明山というのは台北郊外の山地のことで、「陽明」という名前は明代の儒学者である王陽明にちなんでいる。複数の火山からなっていて、煙の出る噴火口があったり、温泉がところどころにあったりする。うちの弟は台湾留学時代に同級生とよくバイクで陽明山に行ったらしく、煙がモクモクでているところをバックにした、自分とバイクの写真を大切にしていた。

マラソンの方は、スタート地点は至善中学というところで標高約45メートル。最も高いところは台北市と新北市の市境辺りにある『風櫃嘴』(ふぉんぐいづい)と呼ばれる場所で標高約600メートル。ここはサイクリストの聖地で、台湾の自転車乗りの人たちはこの峠越えをよく行う。マラソンのコースに戻ると『風櫃嘴』を超えて、新北市の万里区の大坪という辺りで折り返す。

標高550メートル差ぐらいだったら普通のフルマラソンより少しきついだけで何とかなると思ったが、この考えは甘かった!スタートから『風櫃嘴』までは距離にして10キロぐらいあるのだが、情けないことにその途中の7キロ地点ぐらいで足が止まり歩き始めることになった。勾配が想像以上に急でかつ上りが長いのである。

話が違うじゃないかと思った。無論、大会の栞にはきちんとコースの説明や地図や高低図が記載されており、全く話は違わない。話が違うと思うのは、コースの厳しさを過小見積したお門違いなカブの我儘に他ならない。

『風櫃嘴』を超えるとしばらく下りが続くのでここはまた走り始めたのだが、急に天候が変わり激しい風雨に見舞われた。風雨が強くなり、気温が下がり、そしてまたコースの起伏が激しくなる。しかも雨は冷たく、霙か霰が混じっているのかとも思うほどだった。給水所のとあるお姉さんが「今年は特に天候に恵まれず、もう10度以下になってるよ」と仰られていた。

話が違うじゃないかと思った。天気予報をチェックした時、台北は「曇り時々小雨」だったじゃないか。しかしながら、台北の天気予報ではなく陽明山の天気予報をチェックするべきであって、その証拠に周りの参加者はみんな、ウインドブレーカーやカッパを着ているではないか。話が違うと思うのは、台北市内も陽明山も天気は同じだと思って、きちんと天気予報をチェックしなかったカブの怠慢に他ならない。

下はタイツを履いていたのは不幸中の幸いだが、上はTシャツのみで風雨に打たれるとかなり冷えた。しかも舗装路とはいえ、そこは山道。雨が大きいと、結構路面に水がたまり、シューズがずぶ濡れになる。何が好きで亜熱帯の台北でこんなに寒い思いをしなければならないのやら。

ただ陽明山の山道はこころなしか故郷金沢と南砺福光の境にある医王山の山道に似ているような気がした。子供の頃に吹雪の中、登下校した医王山山麓の道を思えば、寒さもそれに比べれば大したことがないと無理やり自分に言い聞かせた。




途中、18キロ地点で台湾大学のEMBAの同級生に会った。とはいえ、彼は21キロの折返し地点を過ぎて既に復路である。彼との差6キロ。恥ずかしい。彼のスマホで一緒に写真を撮って別れた。



更に20キロ時点くらいで、映画出演の時に演技指導でお世話になった俳優さんに出会った。セデック・バレという映画の花岡二郎役の役者さんといえば分かる人もいるかもしれない。演技指導の先生は久しぶりの再会を喜んでくれたが、彼は50キロの部に出場していたので、彼との差は10キロ。僕はこれまた恥ずかしい思いで一杯だった。

恥ずかしい一方で、ランニング仲間というべき人に出会うと励ましになるのも事実だ。自分も頑張ろうと思う。知り合いでない台湾のランナーの人たちも、途中すれ違う時に結構「加油!」(北京語:じあよー、台湾語:がーゆー)と言ってくれる。途中、毛布でぐるぐる巻になって大会スタッフにスクータの後ろで運ばれる人、家を作る時の床や壁に入れる保温材にくるまってガタガタしながら給水所にいる人など、寒さにリタイヤする人を見かけた。それでも自分は、友人より遅くても、少なくともリタイヤせずにきちんと完走しようと思った。

それはそうと給水所では、日本のマラソン大会とは異なり、余り大したものが準備されていない。バナナや茂谷柑(マーコット)、そしてチョコレートやクラッカーが並べられている程度である。それでも暖かい薑母茶(ジャンムーチャー)と呼ばれる台湾のジンジャーティーがあり、この上なく美味しく感じる。1つの給水所だけだが、コーンポタージュが用意されている場所もあった。体が暖まり本当に有難かった。

そうこうしつつ、なんとか復路で『風櫃嘴』まで辿り着いたが、練習不足と冷えのダブルパンチのためか、ここからゴールまで下りの10キロさえ走れなくなっていた。まさに膝が笑う状態で、下りですら歩くのもやっとの状態だった。

それでも道を下っていくにつれて、雨風が穏やかになり、気温が少しずつ上っていることを感じた。膝の痛みも和らいできた。

ゴールに着いた時、タイムは目も当てられないものだったが、それでも喜びはひとしきりだった。



反省点のまとめ(○は今回OKだった点、✕は改善ポイント)


○ スタートは午前6時だったが、午前3時前にスパゲッティを二皿食べた。エナジーゼルも多めに持った。給水所でも必ずちょこちょこ食べた。これで寒さになんとか耐えられたのかも。
○ タイツを履いていたこと。短パンのみの参加者は距離に関わらず少数(エリートランナーは除く)。
○ 大会では紙コップは使用しないため、スタート時点で携帯用の蓋付きコップを渡されるが、蓋のつけ外しがやや面倒。もう一つ持っていった自分の折りたたみ式コップの方が使いやすかった。

✕ 天気予報は「台北」ではなく「陽明山」をチェック。山の反対側では天気が変わるので、陽明山周辺の複数の場所のお天気を確認しておくべき。
✕ 台北郊外の陽明山と雖も、天気は変わりやすくかつ結構冷える。ウインドブレーカーとレインコートは持っていくべき(少なくともレインコートは必須)。
✕ シューズはずぶ濡れになることも大いにある。場合によっては防水のあるトレイルラン用のシューズの方がよいかもしれない。少なくとも防水スプレーをかけておくのがよいと思う。
✕ 大袈裟と思われるかもしれないが、カイロをもっていくのがベター。
✕ 10キロの連続上り坂攻略が必要。勾配も結構急なので、相応の覚悟・準備が必要。

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起業、大学院での活動、在台日本人の生活等を通して色々な角度から見た台湾について、そして台湾から見た日本について、皆さんとお話していきたいと思っています。