2020年1月23日木曜日

台湾の初詣


 旧暦の12月は台湾では忘年会のシーズンです。忘年会のことを「尾牙」(台湾華語:wei3-ya2 うぇいやー、台湾語:bóe-gê ぶぇげー)と呼び、台湾の会社では非常に盛大に祝います。

日本では元旦に各家庭でおせち料理を食べますが、台湾では「圍爐」(台湾華語:wei2-lu2 うぇいるー、台湾語:ûi-lô͘ ういろー)と呼び、大晦日に家族や親戚で集まって食事をします。一年でお母さんが一番忙しい日と言われますが、今日日は外で食べることも多くなり、必ずしもそうとも言えないようです。

新年会は「春酒」(台湾華語:chun1-jiu3 ちゅんじぃぉう、台湾語:chhun-chiúつんじう)と呼んでいますね。忘年会に比べるとささやかな感じで、旧暦12月には会えなかった仲間とこぢんまりと飲んだりします。

もう一つ日本のお正月に欠かせないのは初詣ですね。台湾に初詣ってあるのでしょうか?私自身は余り聞かないような気がするのですが。

先日、親友のトントンちゃんが「尾牙」をするというので、彼の自宅兼会社のある新北市(旧台北県)の新荘まで行きました。新荘は立派な野球場があり、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)とかユニバーシアードとかすべてこの球場を使っています。

新荘にてみんなで鍋をつつきながらお喋りしていたのですが、台湾には初詣があるかどうかという話になったのです。

新荘人のトントンちゃんは、生まれてこの方台湾で初詣のようなことをしたことが無いそうです。台湾には初詣はないのではないかと言うのです。

ところが一方で林口人のヨシさんは、
「いやいやトントンちゃん、それは違いますよ、私の家は初詣みたいなことをしますよ。」
と言うのです。ちなみに林口とは台北の三井アウトレットがあるところです。

何でも旧暦12月の最後の日(最後の日というのは、年によって29日だったり30日だったりする)を「除夕」(台湾華語:chu2-xi1 ちゅーしー、台湾語: 過年暗kòe-nî-àm ごえにーあむ)と呼びますが、林口の人たちは「除夕」の夜に観音さまを祀る近所の廟にお参りするというのです。ただし日本は夜中の12時を目指して(あるいは三が日の昼間)お参りしますが、台湾では子の刻にお参りしないといけないそうで、子の刻の始まる夜の11時前に廟に行くそうです。

するとトントンちゃんは、そうかそうか、それに「ちゃんとうしゃん」もあるし、確かに台湾人も人や場所によっては初詣みたいなことをするねと言う。

「ちゃん・とう・しゃん???」

薬師丸ひろ子の「ちゃん・りん・しゃん」というCMを思い出したのですが、どうもリンス・イン・シャンプーのことではなさそうです(古い!)。

どうやらトントンちゃん先生によると、「搶頭香」(台湾華語:qiang1-tou2-xiang1 ちゃんとうしゃん、台湾語: chhiúⁿ-thâu-hiuⁿ ちぃうたうひぃう)と言って、台湾の一部の廟では、その年の最初に廟の大香炉にお香を指した人は幸運に恵まれ、更に廟から賞金がもらえるとのことです。

インターネットで検索すると、すごい映像がありました。


これを見て私も思い出しました。除夕の夜にみんな廟の外で待っていて、廟の門が子の刻に開くとともにみんな走り出すのです。毎年このイベントで転んで踏みつけられたり、他の人の香にぶつかって火傷したりして、お正月早々負傷者も出て大変な騒ぎになるのです。日本の初詣のように除夜の鐘を聞きながら雪の中を参拝する、、、というような情緒はなく、火花を飛ばしながらあばれ祭りをやっている、、、と言った方がよいかもしれません。

ところで今年、毎年負傷者を多く出して頭を悩ましているとある廟が妙案を打ち出しました。例年は廟の門から香炉まで100メートルほどを走るのですが、今年からは廟の回りをグルっと回ってから香炉へ行き1キロ競走にするというのです。こうすれば確かに今ほど混み合わず、安全になるかもしれません。


日本と同様、ランニングブームの台湾、この企みは門徒の人たちにも結構受け入れられるような気がします。もしかすると「搶頭香マラソン大会」なんか打ち出す廟も近い将来出てくるかもしれません。

(写真は上記記事から取得)

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起業、大学院での活動、在台日本人の生活等を通して色々な角度から見た台湾について、そして台湾から見た日本について、皆さんとお話していきたいと思っています。