2010年2月18日木曜日

台湾のウナギを食べて考えたこと


旧暦正月5日の今日、少しずつですが我が家の近所のお店も開き始めました。

昨日の温泉の話をした際に頂いたコメントで、宜蘭について触れられていたのですが、丁度宜蘭料理の『呂桑』(←クリックするとお店の紹介記事にリンクします。このお店はカブもおススメです。)というお店も開いていました。

「桑」は「さん」と発音し、日本語の「さん」を表しています。ですからこのお店の名前は日本語でいう『呂さん』です。

『呂さん』では宜蘭料理とともに台湾風の和食もあります。私は今回は『鰻魚定食』(うなぎ定食)をたのみました。

台湾の鰻の養殖は歴史が長く、最近中国に押されてはいますが、今でも日本へ盛んに輸出されています。先日も、今年は日本では鰻の稚魚がとれないために、台湾へ注文が殺到しているとのニュースを見ました。

そして、台湾の鰻は何よりも美味しく、そして安全です。環境ホルモン云々という話はありませんので、安心して食べることができます。

更に更に安い。このお店のうなぎ定食は、鰻は写真の通り、丸一匹どかっと丼の上にのっていて、その他茶碗蒸し、サラダ、野菜の小鉢つきで、200元(600円弱)です。

これでも私の通常のお昼ごはんの二倍ではありますが、お正月なので堅いことは言わないことにします。)

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さてさて、鰻を食べながら思い出したことが一つあります。

それは司馬遼太郎さんの『台湾紀行』に登場する『老台北』こと蔡焜燦さんのことです。

彼の著書『台湾人と日本精神(リップンチェンシン) 日本人よ胸を張りなさい』は当初日本教文社より出版されていましたが、突如販売中止、今は小学館文庫から出版されています。

この著書の中で、今は台湾でも著名なIC設計ハウスの会長さんである彼も、日本統治時代が終わってから色々な仕事についたと話をされています。

・・起業家として最初の成功を収めたのがウナギの輸出だった。
当時、日本国内で不足していたウナギを日本へ輸出することになり、私も一層の力が入った。ただ、この仕事は毎日が戦争だった。受け取る日本側の季節によって、輸送する水温を調整するのだが、少しでも設定を間違えば、うなぎは水槽の中で死んでしまったりもする。日本向けに生きたウナギを輸送するためには細やかな神経が要求され、それゆえ頭の中がウナギでいっぱいになり、ついにノイローゼになってしまったこともあった。
生活のために起業したウナギの輸出は見事に成功したが、その一方で、やはりウナギ好きの日本の人々にたべさせてやりたいというそんな思いが心のどこかにあったのだろう。・・・

だから台湾のウナギを食べると、台湾と日本を愛してやまない蔡焜燦さんのことを考えてしまいます。

・・・かつて半世紀もの間、歴史を共有してきた台湾で、いまだ「日本精神(リップンチェンシン)」が勤勉で正直、そして約束を守るというもろもろの善いことを表現する言葉として使われている。
・・・いまも戦前の台湾に郷愁を感じる多くの年配者、哈日(ハーリー)族と称する日本ファンの近年の若者たち。台湾の老いも若きもが日本に好感を寄せ、そして愛し続けている現実を日本人はどのように受け止めてくれているのだろうか。・・・

私自身3年近く台湾語を勉強していますが、残念ながら「日本精神(リップンチェンシン)」という言葉は聞いたことがありません。また戦前に郷愁を感じる年配の方々も益々少なくなってきています。

しかしながら、日本好きな人達は台湾にはまだまだ沢山いて、そして古き良き時代の日本はそんなにクリアーな形でないにしろ、今も静かに脈打っていると思います。

そんなことを考えながら、『呂さん』を後にしました。

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そして、自宅に着くと、メールにて2月15日の産経新聞の記事が転送されてきていました。

「JAPANデビュー」偏向番組訴訟 台湾統治でNHK側は争う姿勢

NHKスペシャル「シリーズ・JAPANデビュー アジアの一等国の出演者などから番組内容に偏向があったと批判が相次いだ問題で、出演者の台湾少数民族・パイワン人や視聴者ら計約1万300人がNHKに計約1億1千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、東京地裁(岡健太郎裁判長)であった。NHK側は争う姿勢を示した。

また、原告側が意見陳述を行い、「台湾の日本語世代の人たちは、教育への貢献など日本による統治時代を高く評価している。(証言をねじまげた今回の番組は)公共放送として許されない」などとNHKの姿勢を批判した。

問題の番組は昨年4月5日に放送されたが、「日本の台湾統治を批判するため、出演者の証言をねじ曲げている」などと批判が集まった。 

NHKが何を根拠に争うのかは私には分かりません。

「蔡焜燦さんをはじめとする台湾で今も日本を愛してくれている方々が、本件をどのようにお感じになられるか。」

まずは争う前に、NHKは日本と台湾の歴史と今置かれた立場をしっかりと勉強し、そしてこのことを冷静に考えて頂くことを切願します。

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2 件のコメント:

  1. NHKは無知ではなく、かなり計算してやっていると思いますよ。NHKスペシャルだけでなく、ワーキングプアシリーズやクローズアップ現代には椅子から転げ落ちるような内容が多い。そう言えば、先日の「坂の上の雲」もひどかったですね。司馬史観の司馬さんでも納得がいかないでしょう。

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  2. NHKは余りにけしからんですね。でも誰も何も言わないから変わらないのでしょうね。。。

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本ブログの概要

起業、大学院での活動、在台日本人の生活等を通して色々な角度から見た台湾について、そして台湾から見た日本について、皆さんとお話していきたいと思っています。