2010年6月7日月曜日

台湾大学EMBA先修課完了!

台湾大学EMBAの先修課(正式コース開講前の準備用のクラス)が5月28日にて完了しました。

会計概論、経済学概論、ケーススタディ(=事例分析)入門の3つのクラスがあったのですが、一番大変でかつ勉強になったのはケーススタディ入門のクラスでした。

前者の2つは基本的に講義形式で、配布資料とスライドを使って先生がゆるりとお話されますので、私の貧しい中国語能力でもきちんと理解できて、授業についていけるということが判明し、本当にほっとしたのでした。

(時には聞き取れない言葉も、資料の漢字を見れば分かる。やはり漢字は偉大です!)

ケーススタディは、このような講義形式のクラスとは全く異なります。

まず事前に英語と中国語のケース(事例)を手渡され、それを詳しく読むことから始まります。

(台湾大学はハーバード大学と提携しているので、ハーバードのケースをそのまま使っています。)

このケースはどれも現実の話を扱っているものなので、必要な情報も不必要な情報も混じっていて、場合によっては英文で15ページ以上あります!

しかもディスカッションは中国語なので、中国語版も読んでおかなければなりませんし、更には与えられた課題について事前に自分でまとめておく必要があります。

最近お勉強に慣れていないカブには、準備のために結構な時間を必要としました。。。

次に授業が始まる前の30分間、5-6人のチームで小さな会議室に集合、ケースについてディスカッションをします。

そして本番の授業では、クラス全員(30人強)がケースディスカッション用の小さなギリシャ劇場のような教室に入って、先生がファシリテーターとなって、ディスカッションが始まります。

ここでまず圧倒されたのは、とにかく誰も黙っていないのは当然のことで、それでころか、まるで早押しクイズのように皆が機関銃のように発言することでした。

さすがは台湾人!

と感心するのも束の間、クラスメートの発言を聞き取るのみで精一杯で、2時間の授業が終わるとそれだけでヘトヘトになりました。

しかも発言出来ない時のプレッシャーはかなり大きいものです。

ケースでは成績のすべては発言のみで採点されますので、発言が0であれば、成績は自動的に0になるのです!

まさに外国人にとっては恐怖以外の何者でもありません。

しかし慣れてくると、ささやかですが発言もできるようになり、かつケースメソッドの面白さが分かってきます。

1. ケースそのものが面白い

どのケースもとある会社における実例で、よく選んで作られていて、いつも感心させられます。

ケースと自分の会社やクライアントの現実の状況などと照らし合わせながら、色々と思考し、解決案を考えていくことは楽しいものです(コンサルタントの原点ですね)。

2. 色々な人の情報・意見を聞くことができる楽しみ

ケースについてクラスメートの体験した類似の出来事、すなわち、業界も規模も異なるさまざまな会社においてどのような具体例が発生し、どのように考え、どのような対応をとったかは、他の場所では中々収集することが難しい貴重な情報です。

3. ディスカッションを通じて必ず新しい『気づき』がある

どのケース分析においても、ディスカッションを通じて、自分が考えていたことが如何に浅く狭かったかということを毎回痛感させられます。

それなりに時間をかけて自分なりに周到な準備をしたつもりなのに、先生のファシリテーションの下にてディスカッションが始まると、必ずいつも自分に欠けていた視点やアプローチがあることに気付くのです。

以前に論語の冒頭の句「学而時習之。不亦悦乎。」についてお話しました。

ケーススタディを通じて、(経営学の理論を)学んで、まさに「時習」することが楽しく、得られることが大きいことが改めて分かりました。

ここでの「時習」は、今自分がおかれている時に当てはめて、友人たちとディスカッションをしながら学んだことを深めていくということです。

日本の大学や大学院でも、ケーススタディをやっているところが増えてきていると思うのですが、日本の教育にはもっともっとディスカッションをしながら思考を深化させていく場があってもよいのではないでしょうか。

このケーススタディのクラスにおいては、財務、会計、マーケティング、経営戦略、統計等さまざまなテーマが扱われたのですが、中でも盛り上がったのが「行動科学」と「人事組織」関連の事例で、人の評価に関するお話でした。

たまたま時を同じくして同僚から、うちの会社の360度評価制度についてレビューするように依頼がありました。

ケースにおいて360度評価の色々な問題について、組織論の理論は勿論、台湾を代表する企業や大手の外資系企業でどんなことがあったか等も含めて色々議論していましたので、レビューの際にはしっかりとした改善案を出せたと思っています(単なる自己満足かも)。

たとえ少々自己満足であっても、大学院で勉強したことが、即仕事に活かせるというスピードは心地良いと思うのですが(この心地よさも自己満足?)。

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本ブログの概要

起業、大学院での活動、在台日本人の生活等を通して色々な角度から見た台湾について、そして台湾から見た日本について、皆さんとお話していきたいと思っています。