ここ半年ほど、事あるごとにずっと昔に見た台湾映画『多桑』のDVDを探していました。
(『多桑』の意味については、こちらhttp://kabu-taiwan-kikou.blogspot.com/2010/06/blog-post_19.htmlをご参照下さい。)
どこへ行っても見つからなかったのが、最近偶然インターネット上で得られているのを見つけ、直ぐに買いました。
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主人公はかつて金鉱で栄えた台北から少し離れた九份に住んでいて、彼の父『多桑』は金鉱の労働者です。
多桑日本が大好きで、人から何歳かと聞かれれば「昭和4年生まれ」と答えるのが常でした。
台湾製のラジオが壊れたときには、「前の日本製のやつは、10年使っても壊れなかった!」と怒りを爆発させます。
多桑が仲間と主人公と一緒に見る映画は『君の名は』。
余談ですが、ここでヒロインの名前が字幕では真知子ではなく道子になっているのをなんだか微笑ましいと思うのは私だけでしょうか。
(ちなみにこの映画館が闇映画館かどうかはここでは残念ながら分かりませんでした。闇日本映画の話については、こちらhttp://kabu-taiwan-kikou.blogspot.com/2010/07/blog-post_04.htmlのシリーズをご参照下さい。)
妹が中華民国の国旗である青天白日旗を描けば、「白い太陽なんてあるもんか」と言って、赤く塗りつぶして「日本の国旗もみたことがないのか」と怒鳴り、妹が「多桑は『漢奸』だ」と言って泣け叫べば、「北京語なんか知らんわ」と嘯きます。
時代は流れて、金鉱は閉鎖され、多桑は九份から台北に移ると、時代からますますとり残されていき、更には金鉱での長年の生活がかかり肺病になります。
闘病生活の中では、台湾語が出来ない孫を見て、「二人の台湾人が外省人を産んだのか」と悲しみ、肺病で先に逝った金鉱の同僚を懐かしんで、「あいつとは子供たちが結婚して片付いたら、一緒に日本へ行って皇居と富士山を見ようと約束していたのに」と悔しがる。
こうしてどんどん病が重くなっていく中、多桑は一人で日本へ行くことを決意するのですが、出発の4日前に他界してしまいます。
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この映画は監督である呉念真が自分自身の若い頃の話を元に製作しています。
ノンフィクションとまでは言えないのですが、敗戦後の台湾の様子に興味があれば、是非お薦めです。
また、この映画は基本的に台湾語ですが、色々な日本語が出てきます。台湾語の中の日本語探しをしてみるのも面白いかも知れません。
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