(この写真は5年前に私が台南にいたときに撮ったものです)
2003年4月に台北俳句会の黄霊芝さんが出版された『台湾俳句歳時記』は、台湾におけるさまざまな季語、一つ一つの季語に関するユーモア溢れるエッセイ、そして台湾の日本語族が詠まれた数々の俳句が掲載されています。
台湾の文化についての理解への助けになり、季語は日本語、北京語、台湾語で記載されていますので語学の勉強にもなります。とにかく楽しく何度読んでも飽きない読み物です。
この台湾俳句歳時記の第65番の季語に挙げられているのが『八田祭』です。
…沃野千里、嘉南大平原は緑の宝庫である。…が、この地はもと洪水、疫病、貧に喘ぐ地だった。一九二〇年、水利工事の能者だった八田與一技師が招かれ、無数次の天災地変と一〇年の歳月を閲し、ついに烏山頭ダム一三〇〇ヘクタールを完成させた。…以来、台湾人は夫妻の功徳を偲び、毎年陽暦五月八日、湖畔の墓苑で霊を超度してきた。…現在は台湾の道士と日本の法師により、毎年法会が営まれる。…
一度この『八田祭』に行ってみたいとも思うのですが、中々スケジュールが合わず、今年も足を運ぶことはできませんでした。
そこで、八田與一さんのことを紹介したアニメ映画『バッテンライ!!』のDVDをインターネット上で購入し、日曜日の午後にソファーに寝転びながらこれを鑑賞しました。
まずタイトルがよいですね。
「八田」の「八」は北京語の発音では第一声で「ばー」ですが、台湾語では「ばっ (pat)」という日本語の促音のような音になります。
日本統治時代には台湾の人たちの言葉は北京語ではなく台湾語ですから、この『バッテンライ』はそのようなこともうまく掴んでいるということになります。
(ちなみに「八田が来た!」の台湾語は、より正確には「バッテンライア」で最後に「ア」がつきますが、これくらいはまあ良しとしましょう。)
さらに2時間の短い時間に、当時のプロジェクトXであるアジア最大のダム建設の苦労や、台湾人と日本人の交流がうまく描かれていると思います。
是非日本の人も台湾の人も、子供も大人も問わず、見て損はない映画であるかと思います。
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去りしもの去らざりしもの八田祭 (黄霊芝)
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