2010年3月26日金曜日

台湾と日本の歴史教育

台湾はオランダ、清朝、日本、中華民国と統治する人が変遷し、複雑な歴史をもっている国であると思います。

しかしながら、蒋介石、経国時代の台湾の歴史教育は大陸の歴史を学ばせるばかりで、台湾の歴史については全く教育を行っていませんでした。

李登輝政権はそのような歴史教育に修正を求め、民進党政府がそれを加速させ、うまく台湾主体の歴史教育に移行してきました。

現在の馬英九政権でも、現時点でこの動きに大きな変更はなく、台湾主体の歴史教育は続いています。

(現時点、というのはこれからはどうなるか分かりません。注意深く見守り続ける必要があると思います。)

少なくとも10余年に渡って続いたこの歴史教育のおかげで、色々なところで台湾の歴史を大切にしようという動きがあります。

3月20日の産経新聞の記事、「【東亜春秋】台北支局長・山本勲 深化する台湾の歴史認識* は、この動きをうまく捉えていると思います

一方で、日本の歴史教育はどうでしょうか。

残念ながら教科書の殆どはいわゆる占領史観に染められていて、扶桑社の新しい歴史教科書があれこれ議論を呼んだものの、一日千秋の如く戦後60年多に渡って変わっていないと思います。

かたい話で恐縮ですが、吉田松陰は松下村塾記において、学問の目的の一つは「華夷の弁」であると言っています。

「華夷の弁」とは、自分の国に誇りをもち、自国と他国との違いをきちんと認識することです。

今の日本の歴史教育では、自分の国に誇りをもつことができるでしょうか。

近代国家日本への飛躍の礎を築いた幕末~明治維新の教育とは全く逆のことを行っているように思えます。

* 追記: 本論からはそれますが、当産経新聞の記事において、台湾人(本省人)は「日本統治時代から台湾に住む漢族」との記述があります。

私自身は、台湾人の血統は大陸から渡ってきた人、台湾原住民、オランダ人、倭寇の子孫等が混じり合い、「漢族」という言葉の記述は適当ではないと認識しています。

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2 件のコメント:

  1. 日本の戦後教育は、「日本は悪かった」で今に至るまで一貫していますね。終戦後の知識人が、戦争に至る責任を軍人や戦時中の政治家だけに転嫁するために、日本人の悪口を叫んだ。そして、その思想を戦後民主主義教育に注入したのでしょうね。日教組が中核として機能した。それが60数年も継続している。

    今の日本の政治は、この責任転嫁のやり口の集大成みたいですね。無茶苦茶に破壊しつくしたら、「国民に選ばれたから責任は国民ある」と言って放り投げるのですかね?

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  2. 戦後の日本の教育はまさに「日本は悪かった」で一貫していて、かといって具体的かつ冷静な分析にかけていると思います。

    ・・・日本が戦争への道を選び取らなければならなかったもっても決定的な要因は、何なのか。どの時期にどのような決断を下せば、戦争に追い込まれる事態を免れていたのか。(中略)要するに日本人としてのアイデンティティーを、どこに求めるべきであったのか。われわれが今もし太平洋戦争から十分なものを学んでいるとすれば、以上の設問に明確に答えうるはずである。・・・

    以上はご存知の通り吉田満さんの「戦後日本に欠落したもの」からの引用ですが60年以上経った今もこの問題は解決していないと思います。

    確かにその根底には、日本人として戦争を見つめるのではなく、あたかも当時の軍人や政治家たちが全く自分には関係のない別の民族の人間であるかのような、非当事者意識、責任転嫁にあるのだと思います。

    今の日本の政治家も当事者意識がなく、一体どこの国の人なんだろうと思われる発言が余りに多々あります。

    何か問題が起きても「我々は国民が指示したマニフェストを実行しただけである」とでも言いそうですね。

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本ブログの概要

起業、大学院での活動、在台日本人の生活等を通して色々な角度から見た台湾について、そして台湾から見た日本について、皆さんとお話していきたいと思っています。